神託の言葉

母を焼いた神|火之迦具土と、燃えた跡地から生えるもの

内乃燈

内乃燈(うちのあかり)/占い師 ウチノアカリ 50代のとき、職場のパワハラ・モラハラから鬱になり、生きる希望を無くしました。 そこから、心と脳のしくみを学び直しています。 脳科学と魂の声が交差する場所で、生きづらさを抱える方へ言葉を届けています。 神託のカードでは、当てるためではなく、 あなたが自分の声を思い出すための一枚をお渡ししています。

生まれてきただけで、誰かを傷つけてしまう。

そんなことがあるのだろうか、と思われるかもしれません。

日本神話には、それをそのまま背負った神様がいます。


火之迦具土とは、どんな神様か

火之迦具土(ひのかぐつち)。伊邪那岐と伊邪那美のあいだに生まれた、火の神です。

迦具土(かぐつち)の「カグ」は、輝くこと。「ツチ」は、霊威を持つものを指すとされます。輝く力そのものを名に持つ神様です。

司るものは、破壊。情熱。そして、生成。

秋葉山本宮秋葉神社や愛宕神社に祀られ、火伏せ――火を鎮める神として、長く信仰されてきました。

火を起こす神が、火を防ぐ神でもある。この二重性が、この神様の本質だと思います。


生まれた瞬間に、母を焼いた

伊邪那美は、多くの島と神々を生みました。その最後に生まれたのが、火之迦具土です。

火の神を産んだことで、伊邪那美は身を焼かれ、病に伏し、命を落とします。

苦しむ伊邪那美の吐瀉物や排泄物からも、神々が生まれたと『古事記』は記します。最期の瞬間まで、この女神は生み続けました。

伊邪那岐は嘆きます。妻の枕元と足元を這い回って泣き、その涙からも神が生まれました。

そして、十拳剣を抜き、生まれたばかりの我が子の首を斬りました。


斬られた身体から、神々が生まれる

ここからが、この神話の異様なところです。

剣についた血が岩に飛び散り、そこから神が生まれます。**建御雷(たけみかづち)**もそのひとりです。のちに国譲りを成し遂げる、雷と剣の神。

そして火之迦具土の亡骸からも、次々に神が生まれました。

頭から正鹿山津見(まさかやまつみ)。胸から淤縢山津見(おどやまつみ)。腹から、陰部から、左手から、右手から、左足から、右足から。合わせて八柱の山の神々です。

斬られた身体が、そのまま山々になった。

殺された神から、国土が生まれています。


破壊と生成は、別のできごとではない

この神話が伝えているのは、たぶんそこです。

火之迦具土は、母を殺しました。父に斬られました。物語としては、悲劇です。

けれどその一連の出来事から生まれたものを数えると、山の神々、雷の神、剣の神――日本神話の骨格をなす神々が並びます。

もし火の神が生まれなければ、伊邪那美は死ななかったかもしれません。けれど、山も雷も剣も、生まれなかったのです。

失われたことと、生まれたことは、同じ一本の出来事でした。


「燃えたあと」を、脳の側から見ると

つらい出来事が、そのまま成長になるわけではありません

まず、はっきりさせておきたいことがあります。

「苦しんだぶんだけ強くなる」という言い方は、必ずしも正しくありません。

つらい経験をすれば自動的に成長する、というものではないのです。何もせずに時間だけが過ぎることも、傷が残ったままになることも、当然あります。

けれど、逆境のあとに人生観や優先順位が変わり、それを本人が「前より大切なものが見えた」と感じる場合があることも知られています。心理学では心的外傷後成長と呼ばれます。

大事なのは、苦しみそのものが与えてくれるのではないということです。

分かれ目は「語り直せたかどうか」

では、何が分かれ目になるのか。

ひとつ挙げられているのが、その出来事を自分の物語として語り直せたかどうかです。

「あれは意味のない不幸だった」で止まっている状態と、「あれがあって、いまここにいる」に変わった状態。同じ出来事でも、位置づけが変わると、心の重さが変わります。

火之迦具土の神話は、まさにその語り直しの形をしています。

**「母を焼いた神」で終わらせず、「山々の生まれた場所」**として語り継いだ。誰かがそう語り直したから、この神様は火伏せの神になれたのだと思います。

渦中では、できません

ただし、これは急いではいけない部分です。

燃えている最中に「この火にも意味がある」と言われても、届きません。むしろ傷つきます。

跡地になるまでは、時間がかかります。 それを待てるかどうかが、たぶんいちばん難しいところです。


いま、あなたに置き換えると

燃やした跡地からしか、生えないものがあります。

失ったものは、戻りません。それは事実です。慰めで埋められるものでもありません。

けれど、その場所が更地になったからこそ蒔ける種というものが、確かにあります。

以前と同じものは生えません。山が生えるのです。

そして、いま燃えている最中の方へ。

意味を探さなくて構いません。いまは、ただ焼けているだけの時間です。跡地になるのは、火が収まってからです。


この神様が現れたとき

神託引きで火之迦具土が出たなら、それは何かが終わろうとしているという報せです。

自分で火をつけたのかもしれないし、そうでないかもしれません。どちらでも同じです。

燃え尽きたあとに、何が生えてくるか。それはまだ、誰にも分かりません。


火之迦具土とゆかりの深い場所

  • 秋葉山本宮秋葉神社/静岡県浜松市 ― 全国の秋葉神社の総本宮。火防の神として知られます
  • 愛宕神社/京都市右京区 ― 全国九百社の愛宕神社の総本宮。火伏せの信仰を集めます
  • 花窟神社/三重県熊野市 ― 伊邪那美とともに、火之迦具土も祀られています

あなたと結びつきの強い神様を調べてみませんか

38柱の神々から、いまのあなたに必要な一枚を引く無料のオラクル「神託引き」をご用意しています。生年月日から、あなたと結びつきの強い神様を導き出すこともできます。

神託引き(無料)はこちら

三十八柱すべての紹介は、こちらにまとめました。

日本神話 三十八柱の神様図鑑


もう少し深く読み解きたい方へ

神託引きが伝えるのは「どの神様があなたのそばにいるか」までです。

その神様が、いまあなたが立っている転機に対して何を告げているのか。そこから先は、お一人おひとりの状況を伺わなければ読めません。

鑑定では、ご相談の内容と誕生日をもとに、あなただけの鑑定書(PDF)と鑑定動画をお作りしています。当てるための占いではなく、納得のいく選択のための道しるべとして。

ウチノアカリの鑑定を見る(ココナラ)

スポンサーリンク

一枚引いた言葉に、あなたの心はどう動くでしょうか。
その反応が、あなたの声です。

当てるためのカードではありません。
あなたの内側にすでにある声を、思い出すための一枚です。

神託カード ― 一枚引く、静かな時間 ―

Soul Insight ― 魂の処方箋 ―
脳科学と魂の声が交差する場所で、あなたに言葉を届けます。
内乃燈について

人生を変えるおすすめの商品