神託の言葉

息から生まれた神|志那都比古神と、よどんだ空気を動かすこと

内乃燈

内乃燈(うちのあかり)/占い師 ウチノアカリ 50代のとき、職場のパワハラ・モラハラから鬱になり、生きる希望を無くしました。 そこから、心と脳のしくみを学び直しています。 脳科学と魂の声が交差する場所で、生きづらさを抱える方へ言葉を届けています。 神託のカードでは、当てるためではなく、 あなたが自分の声を思い出すための一枚をお渡ししています。

三十八柱を書いてきて、最後がこの神様になりました。

風です。

姿がなく、掴めず、それでいて必ず何かを動かしていくもの。

締めくくりに、これほどふさわしい神様もいないと思っています。


志那都比古神とは、どんな神様か

志那都比古神(しなつひこのかみ)。風の神です。

『古事記』は、その生まれをこう記します。

伊邪那岐と伊邪那美が国を生んだあと、朝霧を吹き払った息から生まれた、と。

息そのものが、神になりました。

名の「シナ」は、息が長く続くことを意味するとされます。

伊勢神宮の風日祈宮(かざひのみのみや)、奈良の龍田大社に祀られています。蒙古襲来のとき神風を起こしたとも語られ、風雨を鎮める神として朝廷の崇敬を受けてきました。

司るものは、風。変化。そして、払うこと。


霧を、払った

生まれの場面が、この神様のすべてを語っています。

朝霧が立ちこめていた。

視界が悪く、どちらへ進めばいいか分からない。国はできたのに、はっきり見えない。

そこで伊邪那岐が、息を吹きかけました。

霧が晴れ、景色が現れた。そしてその息が、神になった。

風の働きとは、何かを新しく作ることではありません。

すでにあるものを、見えるようにすることです。


掴めないもの

風は、目に見えません。

見えるのは、風が動かしたもののほうです。揺れる木、流れる雲、翻る布。

風そのものを見た人は、いません。

けれど、風が吹いたかどうかは、誰にでも分かります。

**姿がないのに、確実に働いている。**この神様が最後に来たことに、私は少し感じ入っています。

三十八柱の中には、姿を持たない神が何柱かいました。天之御中主神は現れてすぐ隠れ、高御産巣日神は背後で働き続けました。

そして最後が、息から生まれた風です。


「動かす」を、脳の側から見ると

止まっているものは、止まり続けます

同じ状態が続いていると、それが当たり前になります。

変えるには力が要る。けれど、**変えないことにも力は要りません。**だから止まり続けます。

このとき、私たちはしばしば「変わらないのは自分のせいだ」と考えます。

けれど、変わらないことのほうが自然なのです。それは怠慢ではなく、仕組みです。

環境が変わると、行動が変わります

そして、変えるときにいちばん確実なのは、自分を変えようとすることではありません。

場所を変える。物の位置を変える。空気を入れ替える。

行動は、意志よりも環境に強く影響されます。同じ人でも、置かれた条件が違えば違うことをします。

窓を開けることには、比喩以上の意味があります。

小さく動くと、気持ちがついてきます

そして、これは三十八柱を通して何度も出てきたことです。

やる気が出てから動くのではなく、動くとやる気が出る。

伊邪那岐は、大がかりなことをしていません。息を吹いただけです。

それで霧が晴れました。


いま、あなたに置き換えると

よどんだ空気は、自分から動かしていいのです。

誰かが変えてくれるのを待たなくて構いません。

**大きく変える必要もありません。**窓を開ける。場所を移す。ひとこと言う。

息を吹くくらいのことで、景色が変わることがあります。

そして、あなたが動かしたものは、あなたには見えないかもしれません。

風そのものは見えないからです。見えるのは、動いたもののほうです。


この神様が現れたとき

神託引きで志那都比古神が出たなら、それは滞りが動きはじめるという報せです。

いま何かが変わろうとしています。あるいは、あなたが変えられます。

霧は、払えば晴れます。


志那都比古神とゆかりの深い場所

  • 龍田大社/奈良県三郷町 ― 風の神として、古くから朝廷の祈願を受けてきました
  • 風日祈宮/三重県伊勢市 ― 伊勢神宮内宮の別宮。神風の伝承を伝えます
  • 風宮/三重県伊勢市 ― 伊勢神宮外宮の別宮です

三十八柱、これで最後です

日本神話の三十八柱を、ひとつずつ書いてきました。

光を隠した神。荒れた神。語らない神。選ばれなかった女神。従わなかった星。そして、息から生まれた風。

どの神様にも、うまくいかなかった時間がありました。

閉じこもり、追放され、返され、殺され、負け、退き、それでも名が残っています。

神話が長く語り継がれてきたのは、たぶん完璧な話ではないからです。

そして、いまを生きている私たちのどこかに、必ずどれか一柱が重なります。

あなたに重なる一柱は、どの神様でしょうか。


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日本神話 三十八柱の神様図鑑


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神託引きが伝えるのは「どの神様があなたのそばにいるか」までです。

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