内乃 燈

内乃燈(うちのあかり)/占い師 ウチノアカリ 50代のとき、職場のパワハラ・モラハラから鬱になり、生きる希望を無くしました。 そこから、心と脳のしくみを学び直しています。 脳科学と魂の声が交差する場所で、生きづらさを抱える方へ言葉を届けています。 神託のカードでは、当てるためではなく、 あなたが自分の声を思い出すための一枚をお渡ししています。

神託の言葉

息から生まれた神|志那都比古神と、よどんだ空気を動かすこと

三十八柱を書いてきて、最後がこの神様になりました。 風です。 姿がなく、掴めず、それでいて必ず何かを動かしていくもの。 締めくくりに、これほどふさわしい神様もいないと思っています。 志那都比古神とは、どんな神様か 志那都比古神(しなつひこのかみ)。風の神です。 『古事記』は、その生まれをこう記します。 伊邪那岐と伊邪那美が国を生んだあと、朝霧を吹き払った息から生まれた、と。 息そのものが、神になりました。 名の「シナ」は、息が長く続くことを意味するとされます。 伊勢神宮の風日祈宮(かざひのみのみや)、奈良 ...

神託の言葉

星を鎮めた織り手|建葉槌と、織り続ける手のこと

前回、最後まで従わなかった星の神の話を書きました。 その星を、最後に鎮めた神の話です。 剣でも、雷でもありませんでした。 建葉槌とは、どんな神様か 建葉槌命(たけはづちのみこと)。**倭文神(しとりがみ)**とも呼ばれます。 「シトリ」とは倭文(しづり)――日本古来の、縞模様を織り込んだ織物のことです。大陸から伝わった綾錦に対して、在来の織り方を指します。 つまりこの神様は、機織りの神です。 大甕神社(茨城県日立市)の御祭神。倭文神社は各地にあり、織物と結びついた信仰を伝えています。 司るものは、織る。鎮 ...

神託の言葉

従わなかった星|天津甕星と、馴染めないということ

日本神話の神々は、たいてい最後には従います。 須佐之男命も追放されたあと英雄になり、大国主も国を譲り、建御名方も誓いを立てました。 ただひとり、最後まで従わなかった神がいます。 天津甕星とは、どんな神様か 天津甕星(あまつみかぼし)。**天香香背男(あめのかがせお)**とも呼ばれます。 「カガ」は輝くこと、「セ」は背、「オ」は男。輝く男という意味だとされます。 日本神話でほとんど唯一の、星の神です。太陽と月の神はいるのに、星の神はこの一柱しかいません。 そして、まつろわぬ神――最後まで天つ神に従わなかった ...

神託の言葉

亡骸から五穀が生まれた|大宜都比売と、かたちを変えて実るもの

もてなしたのに、殺されました。 読むたびに理不尽さに息が詰まる神話です。 けれど――その死から、私たちが食べているものが生まれました。 大宜都比売とは、どんな神様か 大宜都比売(おおげつひめ)。名の「オオゲツ」は、大いなる食物を意味します。 伊邪那岐と伊邪那美の国生みのとき、阿波国(現在の徳島県)の別名としても記されています。土地そのものと結びついた神様です。 司るものは、糧。与えること。そして、恵み。 もてなした 高天原を追放された須佐之男命が、地上をさまよっていたときのこと。 食べ物を求めて、大宜都比 ...

神託の言葉

背後で働いていた神|高御産巣日神と、すでに動いている力

物語の主役ではありません。 華々しい場面もなければ、印象的な台詞もない。 けれど重要な決定の場には、必ずこの神様がいます。 高御産巣日神とは、どんな神様か 高御産巣日神(たかみむすひのかみ)。天之御中主神、神産巣日神とともに造化三神と呼ばれます。 名の中心にある**「産巣日(むすひ)」**は、ものを生み出し、結びつける力そのものを指すとされます。 「むすぶ」も「むすこ」「むすめ」も、同じ言葉から来ていると言われます。**結びつくところに、新しいものが生まれる。**その働きの神格化です。 司るものは、生成。 ...

神託の言葉

境を守る神|黄泉津大神と、戻らないと決めた日のこと

戻れないと分かったとき、人はどうするでしょうか。 追いかけるか、待つか、それとも――境目に印を置くか。 この神様は、三つめを選びました。 黄泉津大神とは、どんな神様か 黄泉津大神(よもつおおかみ)。黄泉の国を統べる大神です。 『古事記』は、伊邪那美が黄泉に留まり、その主となったと記します。つまり、国生みの女神が変じた姿ということになります。 伊邪那美として祀られる社は多くありますが、黄泉津大神という名で語られるとき、それは死者の世界の主としての側面です。 司るものは、境界。終焉。そして、再生。 追いかけて ...

神託の言葉

自分で選び、自分で帰った姫|八上比売と、退くという決断

因幡の白兎の話は、多くの方がご存じだと思います。 けれどその兎が、誰のために予言したのかは、あまり語られません。 八上比売(やかみひめ)。この物語の、もうひとりの主人公です。 八上比売とは、どんな神様か 因幡国の八上(現在の鳥取市河原町あたり)に住んでいたとされる姫です。 その美しさは、遠く出雲まで聞こえていました。 大国主が、まだ大穴牟遅と呼ばれていた頃の物語に登場します。 司るものは、選ぶこと。清らかさ。そして、退くこと。 八十神が、押しかけた 出雲の八十神(やそがみ)――大勢の兄弟たちが、こぞって八 ...

神託の言葉

姉の子を育てた妹|玉依毘売と、支える側にまわること

前回、「見ないでください」と言った女神の話を書きました。 見られて海へ帰った、豊玉毘売。 残された子を育てたのが、その妹です。 玉依毘売とは、どんな神様か 玉依毘売(たまよりびめ)。海神・大綿津見の娘で、豊玉毘売の妹にあたります。 名の「タマヨリ」は、神霊が依り憑く器を意味するとされます。 「タマヨリヒメ」という名は、日本各地の神話に登場します。特定の一柱の名前というより、神を宿す女性を指す呼び名だったとも考えられています。 司るものは、育む。依代。そして、繋ぐこと。 姉の代わりに 姉の豊玉毘売は、地上で ...

神託の言葉

夫を三度助けた妻|須勢理毘売と、我慢に変えないということ

嫉妬深い女神、と紹介されることの多い神様です。 けれど物語を読むと、印象が変わります。 この女神がいなければ、大国主は三度死んでいました。 須勢理毘売とは、どんな神様か 須勢理毘売(すせりびめ)。須佐之男命の娘であり、大国主の正妻です。 名の「スセリ」は、すさぶ――勢いのままに進む、荒々しく振る舞う――に通じるとされます。父の「スサノオ」と、同じ響きです。 気性の激しさを、名前に持っている女神です。 司るものは、情熱。嫉妬。そして、覚悟。 出会って、すぐ 大国主がまだ大穴牟遅と呼ばれていた頃。兄たちに二度 ...

神託の言葉

選ばれなかった姉|石長比売と、続くほうを選んでいいということ

日本神話には、選ばれなかった女神がいます。 しかもその理由が、容姿でした。 読むたびに胸が痛む話です。けれど同時に、この神様がいちばん大事なことを背負っているようにも思えます。 石長比売とは、どんな神様か 石長比売(いわながひめ)。山の神・大山津見の娘です。 妹に木花之佐久夜比売がいます。桜のように美しいと語られる、あの女神です。 名の「イワナガ」は、岩のように永く続くこと。不老長寿を象徴する女神です。 司るものは、永続。忍耐。そして、不変。 姉妹で嫁ぐはずだった 天孫・瓊瓊杵尊が笠沙の岬で木花之佐久夜比 ...